|
勤務医時代の話ですが、実は私、入れ歯治療が苦手だったんです。ちょうどそのころの患者様の一言でした。「先生、入れ歯の人間の気持ちが分かりますか?」そのとき、「分かります」とは答えられない自分にハッとしました。入れ歯を作っているのに、入れ歯の人の気持ちなんてなんにも知らなかった。知ろうともしていなかったのです。
それは勤務医であろうが何であろうが、患者様を診る歯科医である以上関係ありません。あのときの患者様の言葉に目を覚まさせていただいたのだと思っています。それでも勤務医だった当時は院長の方針に従わざるを得ず、私自身、勤務医であることへのストレスを感じていたのだと思います。
その後自分で開業して、「これで患者様に満足してもらえる治療が思い切りできる!」と思っていたはずなのに、ふと気付いたら、勤務医だったころと同じことを繰り返していました。理想と志をもって開業したはずなのに、フタをあけてみれば普通の保険治療に埋没してしまっていたのです。
そのことに気づいたとき、改めて初心にかえって自由診療に切り替えました。それは開業して半年後の大きな転機でした。そのとき、患者様とともに、前向きで肯定的な、豊かな人生への挑戦と、私が本当にやるべき仕事への取り組みが始まったのかも知れません。
今、こうして私が外野の声を気にせず、自由診療に絞って患者様と向き合い、治療のクオリティをとことん追求できているのは、本当にたくさんの方にたくさんのことを教えていただいたおかげです。
|